望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

ひとりごとサンタ


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ひとりごとサンタ


鉄製ドア 重たい冷感
経年 手垢に窓は曇り空
コンクリート部屋は冷たい水底
足元から震え白髭に鼻水

独居老人は無口に目覚める


年格好はサンタクロース

白髭白髪 痩せた後ろ姿 
雪を滑らす樅ノ木で凛々
電飾を虚飾と断じて樅ノ木

石つぶてへ眉間は赤々とらえた
鉄窓越し 樅ノ木に積もらぬ雪でよい
独居老人はコンクリート部屋に言い訳をもたぬ


言い訳を浮かべようにも
石ころを投げた波紋
12月ひとりごと樅ノ木に残った


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