望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

幸男は轟く

幸男の雄叫び 幸男はサラリーマン上がりの初老老人の悲哀を胸に街角をゆく 三十歳女盛りむちむち下品さこそが女盛り幸男は伏し目がちにすれ違う女盛り 三十歳に感じ入る失われた世界から生臭い下品 加齢臭を刺激するのだスケベ爺と叩かれる被害妄想幸男は己…

ハチ公は花の宿

ハチ公は花の宿 ハチ公のママは晴子「はっちゃんママよ」心底は荒波打ち寄せようと この呼掛けで晴子は波穏やかな湖水にポッカリと浮かんでる 四季折々に晴子の庭 チューリップ バラ 向日葵 コスモス 花*花はスポットライト冬 松葉は鋭き剣先で春を覚醒 モッ…

繭 性春の七十歳

欄の性春 繭の七十年は繭青春期に母繭になるよりも花を習いて花たる道 繭は七十歳独り身の七十歳に酷と言い聞かせる訳自炊を知らない夜な夜な独り言一人ベッドの中で流れない涙涙を流して身体に染みついたのは罰を課す七癖 母繭を拒否した七十年繭は七十歳の…

礼節なきドブ板

礼節なきドブ板 側溝の上を歩いている誰もが無意識なのだコンクリート溝蓋きれて鉄の溝蓋 網目から雑草が覗いている露草の花はドブにおりた何だろう 側溝は農業用水路でありながら汚泥の堆積するドブ溝だった 汚水の悪臭 汚泥は凄絶なまでの排泄物ブクブクと…

絹子 九十歳の峰々

徳島市より剣山を遠望 九十歳の峰々 絹子 独り九十歳夫 娘を見送った大風に葉っぱもがれ枝骨は折られてでもブラリ周囲360度の枝枝に護られて辿り着いた九十年 白髪を越える年季の入った深い顔 迷路の数だけ九十歳小枝の細々とした身体に鋼の骨組み九十歳 絹…

背中合わせの生一本

背中合わせの生一本 背中と背中で重なる何か透明ボード一枚で見えてても正体不明の罠肉体を脅えさせ更に威嚇 善なる魂はマイクロフィルムの中で閉塞背中合わせで前は見えても行き先は180度方向に不明 生一本 何が何だか行き詰まった囲いの中 背中合わせで無…