望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

農夫は坂道にあり


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いなか原風景
 
農夫は坂道


私は黄金色の棚田を懐旧
妻を労る農夫の心根を見ている


農夫は妻と二人
勾配のきつい坂 その時代時代にそぐう 地下足袋で凌いで来たと語る


ぬいぐるみ人形を我が子同然 あやしながら歩く妻

農夫は野良仕事着のまま
棚田への坂道を妻の後を歩く


棚田 畦道に草刈鎌の朽ち果てた残骸

雨はしとしと錆色を坂道に滲ませ下る
錆色に薄まり加減の休耕棚田
落日に至る崖崩れ


妻は黄金色みのり 金の重量感 
その重さ噛み締めて棚田に石垣を築いた日々 
農夫は回想しながら妻と落日の散歩を楽すしんでいる

 

「農夫は農夫のみに有らずして識者 介護者なんだ」


農夫夫妻の頭上

暑中伺うようにギンヤンマぐるぐる旋回 
夫妻の休耕棚田から

朝日に輝く黄金色棚田へ飛んで行くのかな


私はギンヤンマ 私自体の思いを休耕棚田に刻んで
私は朝日へ飛んでいる


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