望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

大穴から山穴の集落


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大穴から山穴


わきたつ白雲 緑の山々 水と空気  いつもそこにあるから 見落としてしまう生命尊厳そんな自然の懐に抱かれる暮らしに異変 その時が来ている 厳然たる自然界 ほんの入り口での暮らしに体力の限界はチラホラから老境へ 雑草に低木で支配された限界耕作地 掘削建設機械で掘られた竪穴 使用目的 仕事をおえて今はポッカリと大口水溜まり せめての救いは 見事なまでの空の優さ 純白の雲をハッキリと写して 地下水脈にまで及ぶ 廃業した喫茶店はジャングルにうずもれ 山水で焙煎コーヒーの看板だけが 路傍に立ちっぱなしで枯れている 茅葺き屋根は崩れ落ち野犬の住みか 猿は丸々 廃屋を無視して人間臭い屋根でモゴモゴ食事 一寸先は 又 山似て流浪かな日本猿 洗濯竿にズボン ステテコの干された民家一軒 此の家の住人 何人で朝に夕なに人物語にあるか
近隣 山越えた集落 五万分地形図で何ミリかの距離 人と人 家と家の距離感に人物語は尽きないであろう 明日にも異郷の町に別れてしまいかねない寸分先 明日に手向ける花束は茅の先 人物語は居住者の生きざま 弱音も吐く 悪口雑言も言う そうあっても癒され安らぐ土地 今 生きている土地こそ居場所 森林パワー  清流のささやき 人間能力を遥かにしのぐ カウンセラ  セラピー 住民の限界 口元は意味不明に震えだし 大穴は雨水から溜まりはじめて満タン 深く濃いグリーンの水を悲しみのブルーと重ねる時 大穴の水は冷え上がり山穴に沈んでしまう限界 限界集落は山を背負って発生 極身近にある集落さえも 僻地の果てへと遠ざかって行く


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