望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

父性愛散歩


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父性愛散歩


レトロな背広の老父
細身 八十過ぎ 昭和世代カジュアルにきが引ける修身世代だろう 老父は車椅子と進む散歩 車椅子にかかる重量 それはすがる心情と体重 両肩に懸かるものを超越して気遣いは細身を支える
その年格好より頑健
その細身をしならせて
疲労困憊ほどでもない声かけ それは意識の上に意識しない物欲なしの無償なのだ


我が家に着いたのか
父ちゃんの声で降車
一歩引きずり足
二歩目はしっかりと歩行
父ちゃんは介助にまわる
玄関で母は出迎え お帰り
母の声 母は見守り 家に電気の灯りは三人分 慎ましやかな薄明かり
父性愛は中年の我が子を気遣いつつ 妻に労り 2つの介助 日課を終え明日の日課を計画配分より 一刻も睡眠につきたい
父性愛は限りある時間に身を任せても采配と決断

有償に対し家族を委ねられる金力 無償という厳然な愛力 余暇を持てない老父
限られた時間 残存する生命感 生きている道標
老父は穏やかな小路 父性愛散歩を日課に夜を待ち望む


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