2021-11-30 母心緒 ビジリアン慣性 母心緒 飾り棚に二枚の硝子板 冬曇りを拒否するように白 35枚目に飾った硝子板に娘はあの日のまま 一緒に歩いた夫は70枚目に微笑みをうかべる モビール硝子棒は乾燥した音をたてカランカラン 額は追憶を硝子棒に下した 大気の切れ味に過去へ捻れない老境はカランカラン回転 上目で頷き夕暮れを腹でとらえる 90枚に達した厚みは曇りガラス 時のベッドにしなやかな白髪はめぐる 91枚目の硝子板は鏡