田舎むすび
仕事師を手繰ってあの日
記憶の白雲はキラキラ
さざ波 波飛沫に昇る心旅路
春の雪を淡い心痛としのぎ
我が家 鶯とともに春よ
白梅をこよなく愛した
世間並に家をとまっしぐら
早朝より日暮れまで田舎むすび
田舎むすびを日々とした仕事師
あの日の仕事師を呼び覚ましたい
こよなく恋しい面影か仕事師
負けるなと尻を叩いた本音
海苔のかおる波打ち際に止まらない
そこからの時間を田舎むすび
予期せぬ板挟み
金色を仰ぐ先 羨望のもと見失う向地への整合
鰹節と卵に焦って冷飯の食事
予期せぬ爪研ぎは空白を引っ掻けて寛いだ
自制心と味つけをカンナで研磨
カンナ屑と原木の悪夢を背負い切れず
我欲を枕に並べ土畑
枯葉と天空へ武勇を地にあろう
トキメキ秋空
未成熟に光波動は指先から春めきトキメキ
僅かな酸素で七色に到達
壷洞窟を酒倉芳香で充実
更なる碧空を暗示して亀裂
秋上空7キロ 碧空を割り切れないジェット音
自然発火した爆竹の狂おしさを発信
アケビの種子一粒を選別できない憔悴感
熱いブルーの居心地にささくれる
秋真下 誕生純熟度 熟成
橙色は柿色 緑は堕ちてカラス色
グリンから一粒落下する栗色
僕はこの秋 宙返りする紙飛行機を目視
宙返りする瞬間 あの秋のトキメキを嗅いでいる