望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

空き家に紡いで


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空き家に紡ぐ


蔦に蔓延られた空き家
郵便配達 宅配便も行き過ぎ
すうっと古びた光景に紡がれる


黒ずんだ箪笥に古びた着物 

赤子をあやす人は手拭いにモンペ姿 
凍える夕暮れに立ち向かった

両手を合わせ悲境であろうと

家人は去り際に数えた唄

 

感傷にしたり観賞している他人

蔦を切り裂いてどうにか

内部に混沌する事象を嗅ぎたい

古びた暖簾はすきま風に揺らぐセピア色

 

空き家は薄暮にゆらゆら

唱歌にゆらゆら茅葺き屋根
幼少時代は走馬灯でゆらゆら
懐旧を紡いでほつれていく


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田舎むすび


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田舎むすび

 

仕事師を手繰ってあの日

記憶の白雲はキラキラ

さざ波 波飛沫に昇る心旅路

春の雪を淡い心痛としのぎ
我が家 鶯とともに春よ 
白梅をこよなく愛した
世間並に家をとまっしぐら
早朝より日暮れまで田舎むすび

田舎むすびを日々とした仕事師

 

あの日の仕事師を呼び覚ましたい

こよなく恋しい面影か仕事師

負けるなと尻を叩いた本音

海苔のかおる波打ち際に止まらない

そこからの時間を田舎むすび


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小枝に三叉路


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小枝に三叉路


里山は谷間 水仙に似たあますだれ
奥山への三叉路 サボテン種ビャクダン
この名前だと呼ばせた悔恨

愛おしさへ旅立った
枝先は二股へ左右に行く末

小枝に新緑を求めていたい

方位磁石は南北を指してどっち

いつ何処 愛おしさは360日

大枝三叉路に遠く遠へ枯れ葉よ

愛おしい人とともに

愛おしさに充ちるんだ 


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ヘチマsponge


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ヘチマsponge


ヘチマ束子で濾過すべき云々

ヘチマ束子の繊維感に濾させる
皮膚に波紋を描こうとしていた

三角刀を振り上げる限界

生き様を表に泥濘を進みながら

錆びない鉄瓶に刻む青い鳥
耳鳴り癇の虫 

銅板にノイズとしてリトグラフ
深く彫り混んで傷も蒸れ


嗚咽 日照り続き塩気の茂草

本音 飛び出す前に唾にまみれた
おーい ヘチマ束子よ砂漠を濾して海をみよう


朝日を待ちわびる立ちんぼ
ああ 渦潮に引き込まれて云々 
大波に小波に払戻して


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ミニトマトにぬれて


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ミニトマトにぬれて


イカ畑の空 昼間月に自己を重ねる
私は沈むより愚か過ぎて夢遊病
ミニトマトから本トマトへの道標
青トマトだと契る痛切
私は不満を洩らして鍬を打つ

 

あの朝に君とは ほろ苦いトマト

その外 心象は野菜サラダを断った
今 君とは青トマト 明日は夜露に溺れそう
いつか君とは 血色よし本トマト 

 

 歯茎にはざかる焼きリンゴ飴 溶かすより雪景色にあろう

追想を君色の熟成と頬張って
ミニトマトの雫にぬれて


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予期せぬ板挟み


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予期せぬ板挟み


金色を仰ぐ先 羨望のもと見失う向地への整合

鰹節と卵に焦って冷飯の食事

予期せぬ爪研ぎは空白を引っ掻けて寛いだ
自制心と味つけをカンナで研磨

カンナ屑と原木の悪夢を背負い切れず

我欲を枕に並べ土畑

枯葉と天空へ武勇を地にあろう


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君とグリーン再起


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グリーン再起


野原から雑食である狸

アスファルトを駆けて
人ゴミを脱出すべきゲート
赤い反動ボタンを未確認

狸の後方で風車は赤いボタンへ煽った

狸の鳴き声を知ってる
君は真顔で話し掛けてきた
僕は緑コンセットに非接触


冬枯れてイバラは凍える鋭さ

夕暮れ地道 夕焼け一路

枯れ枝止まり木 枯草茂みは仮の宿

ホオジロ色は出たり隠れたり

君に投げ掛ける枯色
君は黄昏ホオジロ色から新規グリーンを鼓舞


僕は黄緑パステルで頷くキセキレイに辿りつく道程へ

赤いボタンを自然に託して


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