2024-01-27 空き家に紡いで 思いダイヤル 空き家に紡ぐ 蔦に蔓延られた空き家郵便配達 宅配便も行き過ぎすうっと古びた光景に紡がれる 黒ずんだ箪笥に古びた着物 赤子をあやす人は手拭いにモンペ姿 凍える夕暮れに立ち向かった 両手を合わせ悲境であろうと 家人は去り際に数えた唄 感傷にしたり観賞している他人 蔦を切り裂いてどうにか 内部に混沌する事象を嗅ぎたい 古びた暖簾はすきま風に揺らぐセピア色 空き家は薄暮にゆらゆら 唱歌にゆらゆら茅葺き屋根幼少時代は走馬灯でゆらゆら懐旧を紡いでほつれていく
2024-01-17 田舎むすび 思いダイヤル 田舎むすび 仕事師を手繰ってあの日 記憶の白雲はキラキラ さざ波 波飛沫に昇る心旅路春の雪を淡い心痛としのぎ我が家 鶯とともに春よ 白梅をこよなく愛した世間並に家をとまっしぐら早朝より日暮れまで田舎むすび 田舎むすびを日々とした仕事師 あの日の仕事師を呼び覚ましたい こよなく恋しい面影か仕事師 負けるなと尻を叩いた本音 海苔のかおる波打ち際に止まらない そこからの時間を田舎むすび
2024-01-05 小枝に三叉路 思いダイヤル 小枝に三叉路 里山は谷間 水仙に似たあますだれ奥山への三叉路 サボテン種ビャクダンこの名前だと呼ばせた悔恨 愛おしさへ旅立った枝先は二股へ左右に行く末 小枝に新緑を求めていたい 方位磁石は南北を指してどっち いつ何処 愛おしさは360日 大枝三叉路に遠く遠へ枯れ葉よ 愛おしい人とともに 愛おしさに充ちるんだ
2023-12-19 ヘチマsponge 思いダイヤル ヘチマsponge ヘチマ束子で濾過すべき云々 ヘチマ束子の繊維感に濾させる皮膚に波紋を描こうとしていた 三角刀を振り上げる限界 生き様を表に泥濘を進みながら 錆びない鉄瓶に刻む青い鳥耳鳴り癇の虫 銅板にノイズとしてリトグラフ深く彫り混んで傷も蒸れ 嗚咽 日照り続き塩気の茂草 本音 飛び出す前に唾にまみれたおーい ヘチマ束子よ砂漠を濾して海をみよう 朝日を待ちわびる立ちんぼああ 渦潮に引き込まれて云々 大波に小波に払戻して
2023-11-30 ミニトマトにぬれて 思いダイヤル ミニトマトにぬれて スイカ畑の空 昼間月に自己を重ねる私は沈むより愚か過ぎて夢遊病ミニトマトから本トマトへの道標青トマトだと契る痛切私は不満を洩らして鍬を打つ あの朝に君とは ほろ苦いトマト その外 心象は野菜サラダを断った今 君とは青トマト 明日は夜露に溺れそういつか君とは 血色よし本トマト 歯茎にはざかる焼きリンゴ飴 溶かすより雪景色にあろう 追想を君色の熟成と頬張ってミニトマトの雫にぬれて
2023-11-19 予期せぬ板挟み 予期せぬ板挟み 金色を仰ぐ先 羨望のもと見失う向地への整合 鰹節と卵に焦って冷飯の食事 予期せぬ爪研ぎは空白を引っ掻けて寛いだ自制心と味つけをカンナで研磨 カンナ屑と原木の悪夢を背負い切れず 我欲を枕に並べ土畑 枯葉と天空へ武勇を地にあろう
2022-11-19 君とグリーン再起 思いダイヤル グリーン再起 野原から雑食である狸 アスファルトを駆けて人ゴミを脱出すべきゲート赤い反動ボタンを未確認 狸の後方で風車は赤いボタンへ煽った 狸の鳴き声を知ってる君は真顔で話し掛けてきた僕は緑コンセットに非接触 冬枯れてイバラは凍える鋭さ 夕暮れ地道 夕焼け一路 枯れ枝止まり木 枯草茂みは仮の宿 ホオジロ色は出たり隠れたり 君に投げ掛ける枯色君は黄昏ホオジロ色から新規グリーンを鼓舞 僕は黄緑パステルで頷くキセキレイに辿りつく道程へ 赤いボタンを自然に託して